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制度概要

省力化投資補助金の製造業における活用状況とは? 一般型・カタログ注文型の採択結果から分析

この記事のポイント

  • 製造業で省力化投資が求められる背景

  • 一般型は第5回までで累計6,500件超の採択を実現

  • カタログ注文型最新データ解説

  • 「一般型」と「カタログ注文型」用途に応じた使い分けが定着

はじめに

現在、日本の中小企業、とりわけ製造業の現場において、深刻な人手不足は経営上の最優先課題となっています。
労働力の確保が極めて困難な今、現場の維持には人を増やすのではなく、限られた人数で生産性を維持・向上できる仕組みづくりが不可欠です。
この課題に対する強力な支援策として注目されているのが「中小企業省力化投資補助金」です。
本補助金には、企業の個別の課題に合わせて柔軟な設備投資を支援する「一般型」と、あらかじめ登録された省力化製品から選択して導入する「カタログ注文型」の2つの枠組みがあります。
2026年7月現在、これまでの公募・採択結果が順次公表され、製造業における本制度の活用状況が明らかになってきました。
本コラムでは、公開された最新の採択結果に基づき、製造業における活用状況を詳しく分析します。

なぜ今、省力化投資が製造業の最優先課題なのか

現在、日本の労働市場は依然として厳しい状況が続いています。
厚生労働省が発表した令和8年4月分のデータによると、全職業の有効求人倍率(季節調整値)は1.18倍と、前月と同水準を維持しています。
一見すると大きな変化はないように見えますが、製造業の現場では人手不足が依然として深刻であり、人材確保の難しさは解消されていません。
その状況は、新規求人数の推移にも表れています。
令和8年4月の新規求人数(原数値)を産業別に見ると、卸売業・小売業(前年同月比11.0%減)や宿泊業・飲食サービス業(同9.1%減)などの主要産業で減少が見られる一方で、製造業は前年比1.2%増と堅調に推移しています。

≪出典≫厚生労働省「一般職業紹介状況」より弊社作成

景気の先行きが不透明な状況でも、製造現場では人材確保の必要性が高く、人手不足への対応が引き続き重要な経営課題となっていることがうかがえます。
こうした状況の中で、持続可能な生産体制を構築するためには、省力化投資が重要な選択肢となります。
人手に依存していた工程を自動化・効率化することで、限られた人材をより付加価値の高い業務へ配置できるようになり、生産性向上と人手不足への対応を同時に実現できます。
そのため、製造業では、省力化投資補助金などを活用して設備の自動化・省力化を進めることが、競争力を維持・強化するうえでますます重要になっています。

一般型における採択結果の推移と傾向

省力化投資補助金の一般型は、中小企業が自社の課題に合わせて最適な省力化設備を導入するための枠組みです。
制度開始以降、おおむね3~4カ月に一度のペースで公募・採択発表が行われています。
過去5回を通じた採択率は60%台前半から70%近くの範囲で推移しており、一般的な補助金制度と比較しても高い採択率を維持しています。

公募回

申請数

採択数

採択率

第1回

1,809者

1,240者

68.5%

第2回

1,160者

707者

60.9%

第3回

2,775者

1,854者

66.8%

第4回

2,100者

1,456者

69.3%

第5回

2,035者

1,251者

61.5%

≪参考≫中小企業省力化投資補助金 一般型 採択結果

業種別の採択割合を見ると、製造業は第1回で61.7%を占め、圧倒的な主要業種でしたが、第2回以降徐々に下降し、第5回では49.7%と、初めて5割を下回りました。
一方で建設業は、第1回の11.3%から第5回の17.7%まで一貫して拡大しており、背景には油圧ショベルへのICT機能付加や測量・施工管理システムの導入など、省力化投資の広がりがあるとみられます。

<製造業と建設業 採択割合の比較>

≪参考≫中小企業省力化投資補助金 一般型 採択結果 結果概要より弊社作成

もっとも、製造業が依然として最大の採択数を占める業種であることに変わりはなく、採択事例としては、自動車部品工場における洗浄・乾燥工程の自動化など、単一工程にとどまらず複数工程・複数部門を横断してシステム化する計画が目立ちます。
また、給食業におけるAIを活用した異物検知と衛生行動監視の組み合わせのように、省力化の対象が単純な作業の自動化から、管理・判断の自動化へと広がりつつある点も近年の特徴といえるでしょう。
地域別に見ると、5回すべての公募で大阪府が採択件数トップを維持しており、国内有数の製造業集積地であることが背景にあると考えられます。
一方で、47都道府県すべてで採択事業者が確認されていることから、地域を問わず、幅広く活用が進んでいる制度であることがうかがえます。

カタログ注文型:建設業と並ぶ主要な活用業種

カタログ注文型は2024年7月の公募開始以降、制度の認知拡大に伴い、申請件数・交付決定数ともに右肩上がりで推移しています。
2026年3~4月期には申請数が約1,130件と、制度開始以降で初めて四半期ベースで1,000件を超える水準となりました。

≪出典≫中小企業省力化投資補助金 カタログ注文型 公募結果

業種別の採択割合では、建設業が最も多く、次いで製造業、学術研究・専門技術サービス業、飲食サービス業と続きます。建設業と製造業の2業種で全体の約65%を占めており、両業種ともに人手不足が深刻な現場での活用が進んでいることがうかがえます。

≪出典≫中小企業省力化投資補助金 カタログ注文型 公募結果 交付決定概要

製品カテゴリ別に見ると、建設業向けの測量機(自動視準・自動追尾型)が全体の約4割を占め、突出していますが、採択件数が2番目に多い製造業では、事業内容の多様性を反映し、幅広い製品が導入されています。
代表的な製品としては、印刷業向けの産業用枚葉デジタル印刷機、食品製造業向けのスチームコンベクションオーブンや食品包装機、金属加工向けの鍛圧・板金加工用バリ取り装置などが挙げられます。
このことから、製造業では業種や工程ごとの課題に応じて、多様な省力化設備が選定されていることがうかがえます。

製造業の工程・業種別の活用ポイントはこちら

省力化投資補助金の活用方法は、製造工程や業種によって導入しやすい設備や期待できる効果が異なります。
工程・業種別のポイントについては、以下のコラムでも解説しておりますので、自社の取組に近い記事をぜひチェックしてみてください。

・【機械加工編】機械加工業における省力化投資補助金の活用のポイント
・【板金・成形編】板金・成形工程で活用できる省力化投資補助金を解説!
・【接合・組立・表面処理編】接合・組立・表面処理工程における設備導入時に活用を検討したい 省力化投資補助金とは?

【製造業】機械加工における省力化投資補助金の活用ポイント 採択事例と申請のコツ
【製造業】板金・成形工程で活用できる省力化投資補助金を解説! 対象設備や採択事例を紹介
【製造業】接合・組立・表面処理工程における設備導入時に活用を検討したい 省力化投資補助金とは?

省力化投資補助金を申請する際のポイント

<一般型>
1.「オーダーメイド性・カスタマイズ性」を明確にする。
自社の現場に合わせて使用を調整した設備であることを強調します。
汎用品の単純導入とみなされると評価が下がりやすいです。

2.賃上げ要件・加点を正確に抑える
・給与支給総額の年平均成長率を3.5%(物価安定目標+1.5%)以上
・事業場内最低賃金を地域最低賃金+30円以上
・従業員21名以上の場合は、次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画の公表なども対象
基準値を満たせない場合、誓約自体ができないため、事前に人件費計画とセットで検討が必要です。

3.過去の加点未達に注意
過去の補助金で賃上げ加点などを取得したにもかかわらず未達成だった実績があると、大幅な減点対象となります。
加点を狙う際は「本当に達成できる水準か」を慎重に見極める必要があります。

4.投資回収機関・資金計画を明示する
課題や投資の必要性、資金の見通しを一気通貫のロジックで説明できるよう、計画書作成前に整理する必要があります。

<カタログ注文型>
1.自社課題に直結する製品を選ぶ
カタログ掲載製品なら何でも良いわけではなく、課題と製品導入効果を説明できる製品を選定する必要があります。

2.投資対効果の視点を持つ
現状分析(どの業務に時間がかかっているか)に加え、その課題解決でどれだけの生産性向上・コスト削減が見込めるかを定量的に示す必要があります。

3.早めの準備を徹底する
震災体制は整いつつありますが、申請数は右肩上がりのため、決定までに時間がかかる可能性があります。
製品選定と計画書作成は早めに着手しましょう。

まとめ

省力化投資補助金は、一般型・カタログ注文型のいずれにおいても、製造業が主要な活用業種となっており、人手不足への対応や生産性向上を目的として、工程の自動化や複数工程の統合、AIを活用した品質・安全管理など、より高度な省力化投資が進んでいます。
一方で、近年は建設業での活用も拡大しており、一般型では建設業の採択件数が伸びたことで、製造業の採択比率は初めて5割を下回りました。
また、カタログ注文型では建設業が製造業を上回り、最も活用が進んでいる業種となっています。
こうした変化はあるものの、両制度とも採択率は高水準を維持しており、製造業にとって依然として活用しやすい補助金制度です。
今後申請を検討する際は、自社の課題を明確にしたうえで、設備導入による省力化効果や生産性向上の成果を具体的に示した事業計画を策定することが、採択につながる重要なポイントとなるでしょう。
省力化投資補助金の活用を検討されている事業者の方は、ぜひ一度、認定支援機関にご相談ください。

この記事の著者

シェアビジョン株式会社

省力化補助金編集部

認定支援機関(認定経営革新等支援機関※)である、シェアビジョン株式会社において、80%以上の採択率を誇る補助金申請書のベースとなる経営計画書を作成してきたメンバーによる編集部が監修・執筆しています。 当社は、2017年の会社設立以来、ものづくり補助金や事業再構築補助金等の補助金申請サポートをはじめとしたコンサルティングサービスを提供してまいりました。『顧客・従業員のビジョンを共有し、その実現をサポートすることで社会の発展と幸福を追求する』を経営理念とし、中小企業の経営者のビジョンに寄り添い、ビジネスの課題を解決するための手助けをしています。支援してきたクライアントは1,300社以上、業界は製造業、建設業、卸売業、小売業、飲食業など多岐に渡ります。このブログでは、中小企業の経営者にとって有益な情報を分かりやすくお届けしてまいります。

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