この記事のポイント
第3回公募の採択率は約35%
第2回公募と比べると応募数・採択数はいずれも半減した一方で、採択率はほぼ横ばい
業種別トップは製造業!建設業、卸売業、小売業など幅広く活用が見られる
新事業進出補助金は第4回で終了し、新制度へ移行
はじめに
中小企業の新市場進出や高付加価値事業への挑戦を支援する「新事業進出補助金」は、これまで複数回にわたり公募が実施されてきました。
2026年7月1日に公表された第3回公募の採択結果は、これから申請を検討する事業者にとって、審査の傾向や採択されやすい事業の特徴を把握するうえで参考となる内容です。
また、本補助金は第4回公募をもって終了し、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(ものづくり補助金)」と統合され、新たに「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」としてスタートします。
そのため、新事業進出補助金の採択傾向を把握することは、統合後の新制度への申請を検討する際にも役立つでしょう。
本記事では、第3回公募の採択結果を分析するとともに、新制度の概要や変更点についても分かりやすく解説します。
第3回公募の全体像
第3回公募では1,212件の応募があり、そのうち423件が採択され、採択率は約35.0%となりました。
直前の第2回公募では2,350件の応募に対して832件が採択され、採択率は約35.4%であり、第3回とほぼ同水準です。
応募件数・採択件数は第2回から減少したものの、採択率は大きく変わっておらず、審査の厳しさ自体に大きな変化は見られませんでした。
また、第3回公募では採択案件423件のうち176件が関税加点の対象となっており、関税など通商環境の変化を踏まえた事業計画が一定数採択されている点も特徴の一つといえます。

業種別にみる採択の傾向

主たる業種別の応募・採択件数を見ると、応募件数は製造業、卸売業・小売業、建設業の順に多く、採択件数は製造業、建設業、卸売業・小売業の順となっています。
応募段階では卸売業・小売業が2位だった一方で、採択段階では建設業が順位を上げている点が特徴的です。
設備投資を伴う新市場進出や事業転換との親和性が高い事業計画が多かったことも、一因として考えられます。
地域別の傾向
全国47都道府県から応募があり、採択も全国に広く分布しています。
特に応募・採択件数が多かった地域は、以下のとおりです。
| 都道府県 | 応募件数 | 採択件数 |
|---|---|---|
| 東京都 | 248件 | 76件 |
| 大阪府 | 119件 | 35件 |
| 愛知県 | 68件 | 27件 |
都道府県別では、応募件数・採択件数ともに東京都、大阪府、愛知県が多い結果となりました。
人口や企業数の多い大都市圏に応募が集中するのは自然な流れですが、地方の中小企業にとっても、人口比で見た採択割合を参考にしながら、地域特性を踏まえた事業計画を練ることが採択への近道になりそうです。
申請額のボリュームゾーン

補助金申請額の分布を見ると、応募件数は2,500万円以上3,000万円未満の区分が246件と最も多く、次いで1,000万円以上1,500万円未満、500万円以上1,000万円未満の順となりました。
高額な設備投資を伴う事業計画だけでなく、中規模の投資計画による申請も多く見られ、さまざまな投資規模の事業者に活用されている制度であることがわかります。
新制度「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」へ
新事業進出補助金は第4回公募をもって終了し、その後は「ものづくり補助金」と統合された新制度「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」としてスタートします。
本制度では、中小企業・小規模事業者等の新市場への進出や高付加価値化に向けた設備投資を支援するものとして、従来の両制度の特徴を引き継ぎながら、より幅広い事業者の成長投資を後押しする制度として運用されています。
新制度のポイントは次の3つです・
1.3つの申請枠に再編
新制度は、「革新的新製品・サービス枠」「新事業進出枠」「グローバル枠」の3つの申請枠で構成されています。
「革新的新製品・サービス枠」は、革新的な新製品・新サービスの開発を支援するもので、単なる生産プロセスの改善は対象となりません。
「新事業進出枠」は、既存事業とは異なる新市場や高付加価値事業への進出を支援するもので、従来の新事業進出補助金の趣旨を引き継いだ申請枠です。
「グローバル枠」は、海外市場への販路開拓に向けた国内の輸出体制強化など、海外展開に取り組む事業を支援します。
2.補助上限額・補助率
補助上限額は、「新事業進出枠」と「グローバル枠」が最大7,000万円(賃上げ特例適用時は最大9,000万円)、「革新的新製品・サービス枠」が最大2,500万円(同最大3,500万円)です。
補助率は申請枠によって異なりますが、「革新的新製品・サービス枠」と「新事業進出枠」は1/2(一定条件で2/3)、「グローバル枠」は2/3と、海外展開を支援する枠がより手厚い内容となっています。
3.賃上げ・生産性用件の明確化
新制度では、補助事業終了後3~5年の事業計画において、付加価値の年平均成長率+4.0%以上、1人あたり給与支給総額の年平均成長率+3.5%以上、事業場内最低賃金が地域別最低賃金より+30円以上高い水準を満たす必要があり、未達の場合は補助金の返還義務が生じる場合があるとされています。
採択後の事業運営においても、賃上げを伴う成長が強く求められる制度設計です。
新制度の概要や主な変更点などについては、以下のコラムで詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。
≪参考記事≫新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 第1回公募開始! 変更点・スケジュール・申請準備まとめ
まとめ
新事業進出補助金第3回公募は、1,212件の応募に対し423件が採択され、製造業を中心に、東京・大阪・愛知といった大都市圏からの応募・採択が目立つ結果となりました。
第2回公募(応募2,350件・採択832件)と比較すると、応募・採択の件数はいずれも半減した一方、採択率は35%前後、採択されやすい業種・地域・投資規模の傾向はほとんど変わっておらず、この補助金の審査傾向自体は安定的に推移してきたと言えます。
今後は、新事業進出補助金とものづくり補助金が統合され、「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」として新たな制度がスタートします。
申請枠ごとに対象要件や補助上限額、補助率などが異なるため、自社の事業計画に最適な申請枠を選定することが重要です。
また、賃上げや付加価値向上などの要件も踏まえ、設備投資だけでなく、中長期的な成長につながる事業計画を策定することが、採択に向けた重要なポイントとなるでしょう。
補助金の活用を検討されている事業者の方は、ぜひ一度、認定支援機関にご相談ください。