この記事の注目ポイント
22次の公募が開始(1月30日申請締切)
予測とおおよそ変わらず、賃上げに関する特例の変更と加点が追加
地域別最低賃金の年平均成長率は21次公募同様。22次公募が申請のチャンス
はじめに
賃上げが要件となっているものづくり補助金ですが、2025年度の最低賃金が全国加重平均で66円引き上げられ、要件を満たすハードルが高くなったと感じる事業者も少なくないでしょう。
かえって、企業は補助金を活用しながら従業員のモチベーションを高め、生産性を向上させる好循環を生み出せるチャンスになるとも捉えられます。
この記事では、弊社の22次公募の予測結果と21次公募からの変更点をまとめています。ものづくり補助金の申請を検討されている方はご参考になさってください。
予測に対する実際の結果
≪22次予測記事≫
予測記事では、22次公募で賃上げ要件の緩和が進み、審査が柔軟になるとの見方を示していました。実際の公募要領では、予測通り最低賃金引上げ特例の適用要件が拡大され、賃上げに関する加点が強化されました。
最低賃金引上げ特例の適用要件拡大
21次 | 2023年10月から2024年9月までの間で、3か月以上、補助事業の主たる実施場所で雇用している全従業員のうち、事業実施都道府県における最低賃金+50円以内で雇用している従業員が30%以上いること。 |
22次 | 2024年10月から2025年9月までの間で、補助事業の主たる実施場所で雇用している従業員のうち、「当該期間における地域別最低賃金以上~2025 年度改定の地域別最低賃金未満」で雇用している従業員が30%以上である月が3か月以上あること。 |
補足としては、「事業所内最低賃金水準要件」である補助事業終了後3~5年の事業計画期間で事業所内最低賃金を毎年事業実施都道府県における最低賃金より30円以上高い水準にするという基本要件が除外されます。
このように、適用要件が拡大したことは弊社の予測が的中したと言えます。
最低賃金が過去最大の上げ幅となった、2025年度に改定された地域別最低賃金未満で雇用されている方がいらっしゃれば、特例を満たして申請できる可能性があります。そのため、2024年10月から2025年9月までの地域別最低賃金を上回っているかに加えて、該当する従業員の割合を確認してみましょう。
・賃上げに関する加点項目の増加
上げ幅の微増はありますが、予測通りの加点措置が設けられました。
<予測>
上述の最低賃金引上げ特例の対象となっている(一定期間において、3ヶ月以上改定後の地域別最賃未満で雇用している従業員が、全従業員数の30%以上いる)事業者

地域別最低賃金引上げに係る加点 2024 年 10 月から 2025 年 9 月までの間で、補助事業の主たる実施場所で雇用している従業員のうち、「当該期間における地域別最低賃金以上~2025 年度改定の地域別最低賃金未満」で雇用している従業員が全従業員数の 30%以上である月が 3 か月以上ある事業者。
事業所内最低賃金引上げに係る加点 2025 年 7 月と応募申請直近月の事業所内最低賃金を比較し、「全国目安で示された額(63 円)」以上の賃上げをした事業者
このように、特例にて過去~現在の最低賃金の引き上げに課題があるという事業者の優遇が改善されました。また、賃上げを積極的に行っていきたいと考えられているのであれば、加点の取得により審査において有利になるため、賃上げに意欲的な企業が優位に立つ可能性が高まりました。単なる資金援助ではなく、企業の未来志向を刺激する制度になっています。
22次公募の概要
一つ目は「製品・サービス高付加価値化枠」で、自社の技術を活かした新製品や新サービスの開発を対象とし、顧客に新たな価値を提供するものが焦点です。補助上限額は従業員規模に応じて750万円から2,500万円で、補助率は中小企業1/2、小規模企業者2/3です。
二つ目は「グローバル枠」で、海外投資や輸出を通じて国内生産性を高める事業を支援。上限額は3,000万円で、補助率は同様です。これらの枠では、機械装置の導入を中心に、技術導入や外注費などが対象経費となります。前者が国内中心のイノベーション、後者が海外展開の生産性向上を狙う点が違いで、事業規模に応じて選択可能です。
22次公募のスケジュール
公募開始 | 2025年10月24日(金) |
|---|---|
電子申請受付開始 | 2025年12月26日(金)17:00 |
申請締切 | 2026年1月30日(金)17:00 |
採択結果発表 | 2026年4月下旬 |
22次公募のポイント
1人あたり給与支給総額を直近5年間の都道府県別最低賃金年平均成長率以上増加する事業計画書を策定しなければなりませんが、ものづくり補助金と近しい中小企業庁の補助金である省力化投資補助金の一般型(2025年11月27日申請締切)は、「2021年度~2025年度」の年平均成長率を用いなければなりません。
事業実施場所で満たすべき数値は異なりますが、東京の3.9%が最も低く、徳島の5.6%が最も高いように、設定すべき目標数値を底上げしなければなりません。
ものづくり補助金は21次公募までの「2020年度~2024年度」の年平均成長率を用いればよいため、東京の2.8%~徳島の4.3%の数値を満たす計画であれば問題ございません。申請に向けてものづくり補助金22次公募の方がハードルは低いと言えます。
とはいえ、過去公募の採択率傾向を表で振り返ると、以下の通り。22次も同様の厳しさが予想されます。
公募回 | 申請件数 | 採択率 |
19次 | 5,336 | 31.8% |
20次 | 2,453 | 33.6% |
22次公募の他変更点
事業計画書本文の補足となる図や画像の提出が必要ですが、A4サイズ3ページ以内から5ページに増加しました。
しかし、5枚を超えるページ数や事業計画の本文を電子申請システムに入力せずにPDFで添付したりしている場合は審査の対象外となりますので留意してください。
・特例措置の「常時使用する従業員がいない場合」が削除
従業員がいない場合は適用不可と明記されていましたが、既に公募要領に応募申請時に従業員数0人では補助金が申請できない旨が記載されています。ものづくり補助金は革新的なサービス・製品の開発を通して賃上げを目的としているため、従業員がいない場合は本補助金も目的とは沿いません。よって、実質は21次からの大幅な変更というわけではありません。
まとめ
66円の最低賃金引き上げを背景に、企業は補助金を活用して生産性を飛躍させ、人材を活気づけられます。製造業の設備導入からグローバル展開まで、事業の未来を広げるきっかけになるでしょう。興味を持った方は、認定支援機関に相談を。この補助金が、あなたの企業成長の鍵となるはずです。
ものづくり補助金編集部
シェアビジョン株式会社
認定支援機関(認定経営革新等支援機関※)である、シェアビジョン株式会社において、80%以上の採択率を誇る申請書を作成してきたメンバーによる編集部が監修・執筆しています。
当社は、2017年の会社設立以来、ものづくり補助金や事業再構築補助金等の補助金申請サポートをはじめとしたコンサルティングサービスを提供してまいりました。『顧客・従業員のビジョンを共有し、その実現をサポートすることで社会の発展と幸福を追求する』を経営理念とし、中小企業の経営者のビジョンに寄り添い、ビジネスの課題を解決するための手助けをしています。支援してきたクライアントは1,300社以上、業界は製造業、建設業、卸売業、小売業、飲食業など多岐に渡ります。このブログでは、中小企業の経営者にとって有益な情報を分かりやすくお届けしてまいります。
※認定経営革新等支援機関とは?
中小企業支援に関する専門的知識や実務経験が一定レベル以上にあると国が認定した経営相談先です。全国各地に3万箇所以上の認定支援機関があり、税理士、税理士法人、公認会計士、中小企業診断士、商工会・商工会議所、金融機関、経営コンサルティング会社等が選出されています。認定支援機関を活用することで、補助金申請だけでなく、財務状況、財務内容、経営状況に関する調査・分析までを支援するため、自社の経営課題の「見える化」に役立ちます。







