ものづくり補助金22次公募の予測的中|22次公募が申請のチャンス

2025/12/03

この記事の注目ポイント

はじめに

中小企業や小規模事業者の生産性向上に資する革新を支える「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」(通称:ものづくり補助金)は、設備投資を通じて新製品開発や海外展開を後押しする人気の制度です。2025年10月24日から22次公募がスタートしました。
賃上げが要件となっているものづくり補助金ですが、2025年度の最低賃金が全国加重平均で66円引き上げられ、要件を満たすハードルが高くなったと感じる事業者も少なくないでしょう。
かえって、企業は補助金を活用しながら従業員のモチベーションを高め、生産性を向上させる好循環を生み出せるチャンスになるとも捉えられます。
この記事では、弊社の22次公募の予測結果と21次公募からの変更点をまとめています。ものづくり補助金の申請を検討されている方はご参考になさってください。

予測に対する実際の結果

弊社ではものづくり補助金22次の公募開始前に予測記事を投稿していました。
22次予測記事

予測記事では、22次公募で賃上げ要件の緩和が進み、審査が柔軟になるとの見方を示していました。実際の公募要領では、予測通り最低賃金引上げ特例の適用要件が拡大され、賃上げに関する加点が強化されました。

最低賃金引上げ特例の適用要件拡大

最低賃金引上げ特例(最低賃金引上げに係る補助率引上げの特例適用要件)とは、上記の要件を満たせば、中小企業だと1/2の補助率が2/3に引き上げられる特例措置です。「製品・サービス高付加価値化枠」等の補助事業枠に合わせて申請することで、中小企業と比較してより多くの補助金を受け取れる可能性があります。
補足としては、「事業所内最低賃金水準要件」である補助事業終了後3~5年の事業計画期間で事業所内最低賃金を毎年事業実施都道府県における最低賃金より30円以上高い水準にするという基本要件が除外されます。

このように、適用要件が拡大したことは弊社の予測が的中したと言えます。
最低賃金が過去最大の上げ幅となった、2025年度に改定された地域別最低賃金未満で雇用されている方がいらっしゃれば、特例を満たして申請できる可能性があります。そのため、2024年10月から2025年9月までの地域別最低賃金を上回っているかに加えて、該当する従業員の割合を確認してみましょう。
・賃上げに関する加点項目の増加
上げ幅の微増はありますが、予測通りの加点措置が設けられました。
<予測>
<22次公募>
こちらは最低賃金引上げ特例と同様の内容の加点です。ただし、対象外事業者が加点だけを申請する場合、特例だと除外される基本要件の「事業所内最低賃金水準要件」は除外の対象とはなりませんので注意しましょう。
最低賃金の引き上げを全国目安で示された額以上の引き上げにより、加点となる項目が追加されました。2025年度改定だと全国加重平均額が「66円」に微増しましたが、ものづくり補助金22次公募では、予測していた目安額「63円」で実施されることとなりました。

このように、特例にて過去~現在の最低賃金の引き上げに課題があるという事業者の優遇が改善されました。また、賃上げを積極的に行っていきたいと考えられているのであれば、加点の取得により審査において有利になるため、賃上げに意欲的な企業が優位に立つ可能性が高まりました。単なる資金援助ではなく、企業の未来志向を刺激する制度になっています。

22次公募の概要

ものづくり補助金は、中小企業者が革新的な取り組みで生産性を向上させるための経費を補助します。22次では、主に2つの枠が設けられています。
一つ目は「製品・サービス高付加価値化枠」で、自社の技術を活かした新製品や新サービスの開発を対象とし、顧客に新たな価値を提供するものが焦点です。補助上限額は従業員規模に応じて750万円から2,500万円で、補助率は中小企業1/2、小規模企業者2/3です。
二つ目は「グローバル枠」で、海外投資や輸出を通じて国内生産性を高める事業を支援。上限額は3,000万円で、補助率は同様です。これらの枠では、機械装置の導入を中心に、技術導入や外注費などが対象経費となります。前者が国内中心のイノベーション、後者が海外展開の生産性向上を狙う点が違いで、事業規模に応じて選択可能です。

22次公募のスケジュール

22次公募のポイント

申請するにあたり、基本要件を満たした事業計画書の策定が必要ですが、特に賃金の増加要件が大きなポイントです。
1人あたり給与支給総額を直近5年間の都道府県別最低賃金年平均成長率以上増加する事業計画書を策定しなければなりませんが、ものづくり補助金と近しい中小企業庁の補助金である省力化投資補助金の一般型(2025年11月27日申請締切)は、「2021年度~2025年度」の年平均成長率を用いなければなりません。
事業実施場所で満たすべき数値は異なりますが、東京の3.9%が最も低く、徳島の5.6%が最も高いように、設定すべき目標数値を底上げしなければなりません。
ものづくり補助金は21次公募までの「2020年度~2024年度」の年平均成長率を用いればよいため、東京の2.8%~徳島の4.3%の数値を満たす計画であれば問題ございません。申請に向けてものづくり補助金22次公募の方がハードルは低いと言えます。

とはいえ、過去公募の採択率傾向を表で振り返ると、以下の通り。22次も同様の厳しさが予想されます。
高い付加価値額の創出や賃上げを実現する目標値が設定されており、その目標値の実現性の高さでも審査されます。この厳しい競争を勝ち抜くために、特例や加点を上手く使いながら申請することをお勧めします。

22次公募の他変更点

・補足資料のページ数増加
事業計画書本文の補足となる図や画像の提出が必要ですが、A4サイズ3ページ以内から5ページに増加しました。
しかし、5枚を超えるページ数や事業計画の本文を電子申請システムに入力せずにPDFで添付したりしている場合は審査の対象外となりますので留意してください。

・特例措置の「常時使用する従業員がいない場合」が削除
従業員がいない場合は適用不可と明記されていましたが、既に公募要領に応募申請時に従業員数0人では補助金が申請できない旨が記載されています。ものづくり補助金は革新的なサービス・製品の開発を通して賃上げを目的としているため、従業員がいない場合は本補助金も目的とは沿いません。よって、実質は21次からの大幅な変更というわけではありません。

まとめ

22次ものづくり補助金は、賃上げの波を味方につけた革新的な公募です。経済産業省の政策では、2025年の経済環境で中小企業が競争力を強化する狙いがあり、本補助金の活用によって企業が最低賃金の引き上げを事業成長に結びつけやすい形になりました。
66円の最低賃金引き上げを背景に、企業は補助金を活用して生産性を飛躍させ、人材を活気づけられます。製造業の設備導入からグローバル展開まで、事業の未来を広げるきっかけになるでしょう。興味を持った方は、認定支援機関に相談を。この補助金が、あなたの企業成長の鍵となるはずです。
著者

ものづくり補助金編集部

シェアビジョン株式会社