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制度概要

省力化投資補助金(一般型)第7回から「歯科医業を営む医療法人」が対象に! ~制度変更の背景と活用ポイント~

この記事のポイント

  • 第7回公募から医療法人も申請可能に

  • 歯科医業を営む医療法人にとって、診療報酬・介護報酬は重複から除外

  • 歯科医院で活用できる対象設備を紹介

  • 採択事例から読み解く、事業計画の傾向とは

はじめに

歯科医院の経営において、長年の悩みのひとつが「人手不足」です。
歯科衛生士をはじめとするスタッフの採用難、採用コストの高騰、そして既存スタッフの業務負担増大、これらの課題に直面する歯科医院の経営者は少なくないでしょう。
こうした背景のなかで、設備投資による省力化・自動化は有力な解決策として注目されてきました。
しかし、医療法人として歯科医院を運営している場合、補助金を活用しようにも「対象外」の壁に阻まれてきたのが実情です。
多くの設備投資系補助金では、医療法人は一貫して申請対象外とされており、補助金を活用できるのは個人事業主として開業している歯科医院に限られていました。
しかし、その状況を大きく変える制度改定が実施されました。
中小企業省力化投資補助金(一般型)の第7回公募から、「歯科医業を営む医療法人」が正式に補助対象者として追加されたのです。
本コラムでは、この制度変更の概要と背景、そして活用にあたっての実務ポイントを解説します。

第7回公募での制度変更

■歯科医業を営む医療法人の対象化と要件
これまでの公募では、公募要領に医療法人は「補助対象者に該当しない」と明記されており、法人形態で歯科医業を営む医院は、申請の対象外となっていました。
しかし、第7回公募では、「歯科医業を営む医療法人」が補助対象者として新たに明記されました。

具体的には、以下の要件を全て満たす法人が対象となります。

・医療法第44条に基づき、都道府県知事の認可を受けて設立された法人であること
・従業員数が300人以下であること

なお、個人事業主として歯科医院を開業している場合は、従来どおり補助対象に含まれます。
今回の変更は、あくまで「医療法人が新たに補助対象に加わった」という対象範囲の拡大であり、これまで申請対象であった個人事業主の申請資格が狭まったわけではありません。

■診療報酬・介護報酬との「重複制限」が撤廃!
今回の制度変更において、医療・歯科業界が最も注目すべき点は、公的な保険診療(診療報酬・介護報酬)を得ている事業であっても、本補助金が制限なく活用できるようになったことです。
通常、国の補助金制度では「公的な資金との重複」が厳しく制限される傾向にあります。しかし、本補助金の公募要領では、国の他の助成制度との重複を制限する条項において、「公的医療保険・介護保険からの診療報酬・介護報酬は除く」と明記されています。
この「報酬との併用OK」というルール緩和は第6回公募から行われていましたが、当時はまだ医療法人自体が申請対象外でした。
今回の第7回公募で医療法人の対象化が合わさったことにより、法人経営の歯科医院が、診療報酬を主たる収益源としながら、公的な支援(補助金)を受けて省力化投資を行えるという、かつてないチャンスが到来したと言えます。
ただし、他の国の補助金や助成金との重複には依然として制限があるため、注意が必要です。
具体的には、省力化投資補助金で申請する補助対象経費が国の他の助成制度と重複する場合には、補助対象となりません。
また、同一事業で複数の補助金に採択された場合は、いずれか一方を選択する必要があります。
未申告や虚偽がある場合は、不採択や変換の対象となるため、事前の確認が不可欠です。

歯科医院で活用できる設備・システムの例

省力化投資補助金(一般型)では、導入する設備やシステムが「省力化(人手不足解消・生産性向上)」に直結することが審査のポイントになります。
歯科医院で検討できる設備・システムの例としては、以下のようなものがあります。

<診療業務の効率化に関わる設備>
歯科用CTやデジタルレントゲンは、院内で検査を完結できるため外部委託の手間を省き、治療計画作成の時間を短縮します。
口腔内スキャナーやCAD/CAMシステムの導入は、従来の印象採得・石膏流しといった手作業の工程を大幅に削減し、技工物の外注にかかる往復の手間も軽減できます。

<受付・会計業務の自動化>
自動精算機や予約管理システムは、受付スタッフの業務負担を直接軽減します。
会計時の現金授受や締め作業の時間削減、入力ミスの防止といった省力化効果が期待でき、数値化もしやすい設備です。

<衛生管理・滅菌工程の効率化>
自動洗浄機・滅菌機の導入は、衛生士が感染管理の手作業から解放され、本来の診療補助業務に集中できる環境をつくります。
工程の標準化によるミスの防止も副次的な効果として示せます。

採択されるために押さえておきたいポイント

採択される事業計画には、いくつかの共通点があります。
歯科医院が申請を検討する際には、特に次の3つのポイントを意識するとよいでしょう。

①導入効果を具体的な数値で示す
「口腔内スキャナーの導入により、印象採得や石膏流しの作業時間をどれだけ削減できるか」「自動精算機の導入により、会計や締め作業を1日あたり何分短縮できるか」など、現状と導入後を具体的な数値で比較して示すことが重要です。
定量的な効果を明確にすることで、事業計画の説得力向上につながります。

②省力化によって生まれた時間の活用方法を明確にする
省力化によって生まれた時間をどのように活用するのか、そのストーリーを明確にすることも重要です。
例えば、メンテナンス患者の受け入れ枠を拡大する、自由診療への対応力を高めるなど、経営全体への波及効果を示すことで、より実現性の高い計画として評価されやすくなります。
単なる設備更新や抽象的な効果の記載だけでは、十分な評価につながりにくい点には注意が必要です。

③業務フローの変化を「見える化」する
現状の業務フローにおける課題と、設備導入後にどのような変化が生じるのかを具体的に示すことも重要です。
どの工程に人手や時間がかかっているのか、設備導入後にその工程がどのように改善されるのかを「見える化」することで、事業計画の内容が伝わりやすくなります。

個人歯科医院の採択事例から見る事業計画の傾向

第7回公募以前から、個人事業主として開業している歯科医院は省力化投資補助金(一般型)に申請が可能でした。
公表されている採択者一覧を見ると、歯科分野では、デジタル技術の活用による歯科技工工程の省力化や、高精度な補綴物の製作体制の構築、生産能力の向上などを目的とした事業計画が採択されています。
特に、デジタル機器の導入による業務効率化や、生産体制の強化を通じて、新たな受託体制の構築や品質向上につなげる取り組みが多く見られます。
このように、単なる設備更新ではなく、省力化によって生まれた余力を活用し、生産体制の強や提供価値の向上につなげる計画が共通する特徴といえるでしょう。

≪出典≫中小企業省力化投資補助金 一般型 採択結果

まとめ

「医療法人は補助金を活用できない」というこれまでの状況は、省力化投資補助金(一般型)の第7回公募から大きく変わりました。
また、個人歯科医院ではすでに採択実績があり、デジタル技術を活用した省力化と付加価値向上を両立させる事業計画の方向性も見えてきています。
医療法人が今後申請を検討する際には、こうした採択事例や採択傾向が、事業計画を検討するうえでの参考になるでしょう。
重要なのは、導入する設備そのものではなく、「その設備によってどれだけの時間を創出し、その時間をどのように活用するのか」を具体的に計画書へ落とし込むことです。
まずは、自院の業務フローを棚卸しし、省力化できる工程を明確にしたうえで、その効果を売上拡大やサービス品質の向上にどのようにつなげるのかを整理しておくことが、採択につながる事業計画の第一歩となるでしょう。
補助金の活用を検討されている事業者の方は、ぜひ制度に精通した認定支援機関へご相談ください。

この記事の著者

シェアビジョン株式会社

省力化補助金編集部

認定支援機関(認定経営革新等支援機関※)である、シェアビジョン株式会社において、80%以上の採択率を誇る補助金申請書のベースとなる経営計画書を作成してきたメンバーによる編集部が監修・執筆しています。 当社は、2017年の会社設立以来、ものづくり補助金や事業再構築補助金等の補助金申請サポートをはじめとしたコンサルティングサービスを提供してまいりました。『顧客・従業員のビジョンを共有し、その実現をサポートすることで社会の発展と幸福を追求する』を経営理念とし、中小企業の経営者のビジョンに寄り添い、ビジネスの課題を解決するための手助けをしています。支援してきたクライアントは1,300社以上、業界は製造業、建設業、卸売業、小売業、飲食業など多岐に渡ります。このブログでは、中小企業の経営者にとって有益な情報を分かりやすくお届けしてまいります。

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