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制度概要

建設業で省力化投資補助金(一般型)を活用するには? 採択事例と申請のポイントを解説

この記事のポイント

  • 建設業の採択割合は全体の17.7%(第5回公募)で製造業に次いで高い実績!

  • ICT建機やチルトローテーターなど「現場の複数工程をカバーする設備」の導入に活用できる

  • 過去の採択事例から見る申請のポイントを解説

はじめに

建設業では、人手不足や技術者の高齢化が深刻化しているほか、2024年4月から適用された時間外労働の上限規制(いわゆる「2024年問題」)への対応も求められています。
こうした状況を背景に、現場作業の省人化・自動化は避けて通れない経営課題となっています。
対応策として注目されているのが、「中小企業省力化投資補助金(一般型)」です。
本制度では、自社の業務フローに合わせたオーダーメイドの設備・システム導入に活用できるため、建設現場の生産性向上や省人化を進めたい事業者にとって有力な支援制度となっています。
本コラムでは、建設業における活用設備の具体例や公式採択データから見える傾向、採択率を高めるためのポイントについて詳しく解説します。

省力化投資補助金(一般型)とは

省力化投資補助金(一般型)は、IoT・ロボット・AIなどのデジタル技術を活用した省力化設備の導入を支援する中小企業庁の補助金制度です。
カタログ注文型と最も異なる点は、「カタログに載っていない」オーダーメイドの設備・システムも対象になる点にあります。
現場の業務プロセスや設備レイアウトに合わせてカスタマイズした機械や情報システムを導入したい建設業者にとって、特に活用メリットの大きい制度です。

≪出典≫中小企業省力化投資補助金(一般型)

最新採択データで見る建設業の採択割合

公式サイトで公開されている過去の採択結果(第1回~5回)をもとに、建設業の採択割合の推移を見ていきます。

公募回

申請数

採択数

採択率

建設業の割合

予想採択者数

第1回

1,809者

1,240者

68.5%

11.3%

140者

第2回

1,160者

707者

60.9%

12.4%

87者

第3回

2,775者

1,854者

66.8%

15.5%

287者

第4回

2,100者

1,456者

69.3%

15.9%

232者

第5回

2,035者

1,251者

61.5%

17.7%

221者

累計

9,879者

6,508者

65.9%

14.9%

967者

≪出典≫中小企業省力化投資補助金 一般型 採択結果

建設業の採択割合は第1回の11.3%から第5回の17.7%へ着実に拡大しており、採択件数の割合は毎公募回、製造業に次ぐ第2位を維持し、1,000者近い事業者が既に採択されています。
建設業では人手不足が深刻化しており、省力化設備の導入ニーズが高いことが、採択割合の高さにつながっていると考えられます。

採択事例から見る建設業の活用パターン

建設業の採択事例を見ると、単なる設備更新ではなく、人手不足の解消や作業工程の効率化、施工品質の向上につながる設備投資が多く採択されています。
どのような設備や取り組みが評価されているのか、実際の採択事例をもとに見ていきましょう。

【第1回】鉄筋加工工事業者:デジタル図面処理〜鉄筋加工機の一連自動化

≪出典≫中小企業省力化投資補助金 一般型公募(第1回)採択結果について

紙図面を元にした加工指示の手入力によるミスや、それに伴う手戻り・工期遅延が課題となっていた事業者では、CAD図面処理・加工帳自動作成システム、QRコード加工指示システム、鉄筋加工機(自動曲装置)を連携して導入しました。
その結果、CAD処理から加工機による製造までの工程を自動化し、人為ミスを大幅に削減。さらに、ベテラン技術者を技術継承や新規案件対応へ振り向けることで、生産性向上と事業拡大を実現しています。

【第2回】建設業者:チルトローテーター付き油圧ショベルで作業効率45%削減

≪出典≫中小企業省力化投資補助金 一般型公募(第2回)採択結果について

アタッチメント交換のたびに2名体制での作業が必要であり、整地や転圧にも別設備を使用していたことから、年間約1,200時間、約1,500万円相当のコストが発生していた事業者では、チルトローテーターを搭載した油圧ショベルと各種アタッチメントを導入しました。
その結果、アタッチメント交換や施工工程の効率化により作業時間を約45%削減。1名で対応可能な作業が増えたことで、余剰人員を営業活動や新事業開発、高精度施工へ再配置し、高単価・高利益率案件の受注拡大を実現しています。

【第4回】総合建設業者:ICT建機・草刈り機で土木部門を抜本改革

≪出典≫中小企業省力化投資補助金 一般型公募(第4回)採択結果について

草刈りや丁張り、掘削作業などを人力中心で行っていた事業者では、3名体制でも工期が長期化していました。また、技術者の高齢化や若手人材の不足により技術継承が進まず、公共工事の受注拡大も人員不足によって制約を受けていました。
そこで、ICT対応油圧ショベル(3D施工・稼働データの可視化機能付き)に加え、油圧フォークや法面対応草刈り機を導入。急斜面や危険箇所での測量・丁張り作業を機械化し、安全性の向上と作業効率化を実現しました。
さらに、ICT建機の活用により熟練技術者に依存しない高精度な施工が可能となり、若手でも作業しやすい現場環境を構築。創出した人員を公共工事など付加価値の高い案件へ集中させることで、事業拡大と収益性向上の両立につなげています。

採択されるための3つの申請ポイント

①現場の「複数工程」をカバーする設備構成を設計する
採択事例に共通しているのは、単一の設備を導入するのではなく、施工や加工など課題となっている工程全体を見直し、複数の設備を組み合わせて一連の作業を効率化する計画です。
人手不足の解消や生産性向上に向けた具体的な効果が明確な事業計画が評価される傾向にあります。
第2回の採択事例では、ショベル本体にチルトローテーターと各種アタッチメントを組み合わせることで、アタッチメント交換の手間・人員・転圧作業の非効率をまとめて解消しています。
「この設備でどの工程が不要になるか」を言語化することが重要です。

②労働生産性CAGR 4.0%以上の目標を具体的な数値で示す
一般型では、事業計画期間中に年平均4.0%以上の労働生産性向上を達成する計画が求められます。
実際の採択事例を見ると、「作業時間を45%削減」「年間1,200時間の工数削減」「3名体制から1名体制へ移行」といった形で、省力化効果を具体的な数値で示しているケースが多く見られます。
そのため、設備導入による効果を定性的に説明するだけでなく、導入前後の工数や人員配置、コストの変化を定量的に整理し、付加価値額が向上する理由ないしは、労働生産性向上との関係を分かりやすく示すことが重要といえるでしょう。

③省力化で生まれた人員の「再配置先」まで計画に盛り込む
採択された建設業の事例を見ると、省力化によって創出した人的リソースを、営業活動や技術継承、新規案件への対応など、付加価値の高い業務へ再配置する計画が多く見られます。
単に作業時間の削減や業務効率化の効果を示すだけでなく、省力化によって生まれた余力をどの業務に振り向け、売上拡大や収益性向上につなげるのかまで具体的に示すことが、採択につながる事業計画を作成するうえで重要な視点といえるでしょう。

まとめ

省力化投資補助金(一般型)における建設業の採択割合は回を追うごとに増加しており、建設業界での活用が広がりつつあることがうかがえます。
採択事例を見ると、ICT建機やチルトローテーター、草刈り機、鉄筋加工自動化システムなど、現場ごとの課題に応じた多様な設備が導入されています。また、従業員5人以下の小規模事業者から中堅規模の事業者まで、幅広い企業が採択されている点も特徴です。
「自社に適した設備が分からない」「事業計画書の作成に不安がある」という場合は、まず業務フローを整理し、どの工程に多くの人手や時間がかかっているのかを把握することが重要です。現状の課題を明確にすることで、省力化の方向性や補助金活用の可能性も見えやすくなるでしょう。
補助金の活用をご検討の事業者の方は、ぜひ制度に精通した認定支援機関へお問い合わせください。

この記事の著者

シェアビジョン株式会社

省力化補助金編集部

認定支援機関(認定経営革新等支援機関※)である、シェアビジョン株式会社において、80%以上の採択率を誇る補助金申請書のベースとなる経営計画書を作成してきたメンバーによる編集部が監修・執筆しています。 当社は、2017年の会社設立以来、ものづくり補助金や事業再構築補助金等の補助金申請サポートをはじめとしたコンサルティングサービスを提供してまいりました。『顧客・従業員のビジョンを共有し、その実現をサポートすることで社会の発展と幸福を追求する』を経営理念とし、中小企業の経営者のビジョンに寄り添い、ビジネスの課題を解決するための手助けをしています。支援してきたクライアントは1,300社以上、業界は製造業、建設業、卸売業、小売業、飲食業など多岐に渡ります。このブログでは、中小企業の経営者にとって有益な情報を分かりやすくお届けしてまいります。

※認定経営革新等支援機関とは?
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