この記事のポイント
第3回公募の採択率は66.8%の高水準
公募回あたりの申請数は増加傾向
第5回公募の締め切りは2026年2月下旬
はじめに
◆中小企業省力化投資補助事業(一般型) 第3回公募の採択結果について
《参考》
省力化投資補助金(一般型)HP「採択結果」
◆中小企業省力化投資補助事業(一般型) 第5回公募のスケジュールについて
《参考》
省力化投資補助金(一般型)HP「スケジュール」
本コラムでは第3回の採択結果から分かる省力化投資補助金(一般型)の傾向と第5回公募の予想について簡潔に説明していきます。
省力化投資補助金(一般型)の概要
また、本補助金は、設備やシステムの導入による省力化で得られたリソースを、より付加価値の高い業務に活用することで、如何に生産性を向上できるかが重要なポイントとなっています。
令和6年度補正予算にて3,000億円規模で運用されており、補助金額は最大で1億円にもなる大型の補助金です。
省力化投資補助金(一般型)第3回公募の採択結果
省力化投資補助金(一般型)第3回公募採択者発表
申請数 | 2,775 |
採択数 | 1,854 |
採択率 | 66.8% |
注目すべきは、他の主要補助金制度の最新公募結果と比較しても、この採択率が際立って高いという点です。直近のものづくり補助金20次の採択率は33.6%、新事業進出補助金第1回は37.2%であり、それらと比べると省力化投資補助金の採択率は約30ポイント高い水準にあります。採択の間口の広さという点で、現行の補助金制度の中でも非常に利用しやすい制度となっていることが見て取れます。
また、申請数の急増も今回の注目ポイントです。
第1回公募申請数 | 第2回公募申請数 | 第3回公募申請数 |
|---|---|---|
1,809 | 1,160 | 2,775 |
この申請数の増加傾向に加えて、採択率が66.8%と高水準を維持していることも考慮すると、今後の公募回でも申請数はさらに増加していくことが予想されます。しかし、補助金の予算枠は無限ではありません。申請が集中すれば、審査基準の厳格化や採択率の低下といった影響が生じる可能性は十分に考えられます。
こうした点を踏まえると、今後の公募回では、
申請競争の激化
事業計画書の質の重要性の高まり
早期の準備・申請の必要性
それでは、省力化投資補助金の第3回結果から、最新の省力化投資補助金がどのような傾向なのか紐解いていきます。
3回公募の採択結果概要から読み取れること

省力化投資補助金(一般型)HP「採択結果概要」
業種別の採択件数割合を見ると、製造業が依然として全体の過半数を占める51.3%となっており、省力化投資補助金の中心的利用者が製造業であることがまず確認できます。次いで「建設業」が15.5%と続き、建設分野でも高いニーズが顕在化しています。一方で、卸売、小売、専門技術サービス(学術研究を含む)といった、いわゆる「流通・サービス系」の業種でも採択が目立ち、各5%前後の割合を占めています。この分布は、本補助金が「製造業向けの制度」という一般的な印象とは異なり、幅広い業態で活用され始めていることを示唆しています。
実際に、第1回公募では製造業が全体の61.7%を占めていましたが、第3回では51.3%と約10%減少しています。その反面、建設業は第1回の11.3%から15.5%へと大きく伸びており、建設現場における省力化・業務効率化ニーズが急速に高まっていることが読み取れます。また、これら主要2業種を除いたその他業種の合計割合も27.0%から33.2%へと増加しており、補助金の活用がより多様な業種へ広がっていることが推測できます。
この分布から読み取れるのは、やはり「機械設備導入や生産ラインの自動化」といった明確な省力化ニーズのある製造業が主戦場である一方で、「建設現場の見積・管理業務の効率化」や「物流・倉庫管理・流通業務の自動化」「サービス・小売業における人手依存の安易な作業軽減」といった幅広い業種での活用の幅が広がっている傾向です。製造業以外の業種でも、省力化投資の必要性を事業計画でしっかりと説明できれば十分にチャンスがあるといえます。
・事業計画名から読み解くキーワード
第3回(採択数:1,854) | 第1回(採択数:1,240) | |||
|---|---|---|---|---|
ワード | 件数 | 全体に占める割合 | 件数 | 全体に占める割合 |
ロボット | 68 | 3.6% | 85 | 6.8% |
ライン | 115 | 6.2% | 105 | 8.46% |
AI | 113 | 6.09% | 60 | 4.83% |
DX | 95 | 5.12% | 53 | 4.27% |
ICT | 72 | 3.88% | 28 | 2.25% |
省力化投資補助金(一般型)HP「採択結果」
採択結果には、採択者名に加えて事業計画書のタイトルが公表されます。これらのタイトルに含まれるキーワードを抽出し、第1回公募と第3回公募で比較したところ、いくつか興味深い傾向が浮かび上がってきました。
まず注目したいのが、「ロボット」「ライン」といったキーワードの変化です。これらは従来、製造現場における典型的な自動化設備を示す語句であり、第1回公募では一定の存在感を示していました。しかし、第3回では全体に占める割合が減少しています。これは、依然としてロボット・自動化ラインの導入が有効である一方で、補助金の利用者層が製造業中心から徐々に広がり、より多様な業種が採択されるようになった結果と考えられます。
この傾向と対照的に、採択タイトルの中で割合を伸ばしているのが「AI」「DX」「ICT」といったデジタル技術を象徴するキーワードです。第3回公募では、これらのキーワードを前面に打ち出した事業計画が顕著に増加しており、デジタル技術を活用した省力化が強く意識されていることが読み取れます。
加えて、これらのキーワードは製造業だけでなく、建設業や小売業、サービス業など幅広い産業に広がっています。たとえば建設分野では「現場DX」「ICT施工」、小売分野では「店舗DX」「在庫管理システム」、サービス業では「点検業務デジタル化」「画像解析による検査効率化」など、各業種固有の課題に対してデジタル技術による効率化を図る計画が増加しています。こうした動きは、省力化投資補助金が製造現場の自動化設備導入だけでなく、各業種の業務プロセス全般におけるAI等のデジタル技術を用いた省人化を後押しする制度として認知され始めたことが推測できます。
・従業員数別の採択件数割合
《参考》
省力化投資補助金(一般型)HP「採択結果概要」
続いて、従業員数別の採択件数割合を見ていきましょう。省力化投資補助金(一般型)の第1回と第3回を比較すると、採択企業の従業員規模に興味深い変化が見られます。
第1回

第3回

この傾向の背景には、少人数で事業を運営する企業ほど、人手依存の作業がボトルネックになりやすく、設備導入による省力化効果が顕著に現れる点があると考えられます。自動化・効率化設備の導入により、業務負荷の軽減や生産性向上のインパクトが大きいため、人手不足に悩む小規模事業者にとって本補助金の活用は、思い切った投資を行う上で非常に有効な手段であると言えます。
第3回公募の結果から、業種、事業規模共に、より多くの事業者に門戸が開かれたことが分かりました。では、次回の申請チャンスは一体いつになるのでしょうか? 第5回公募のスケジュールを確認していきましょう。
省力化投資補助金(一般型)第5回公募のスケジュール
公募開始日 | 2025年12月中旬(予定) |
申請受付開始日 | 2026年2月上旬(予定) |
公募締切日 | 2026年2月下旬(予定) |
採択発表日 | 後日発表 |
内容の変化
《参考》
シェアビジョンコラム「省力化投資補助金(一般型)第4回公募開始!第3回公募からの変更点まとめ」
現時点では第5回の公募要領は公開前ですが、前回公募で大幅な変更があったことを踏まえると、第5回は第4回に準拠した内容となることが予想されます。現在公表されている第4回の公募要領を参考にしつつ、第5回の申請に向けて準備を開始することをお勧めします。
《参考》
省力化投資補助金(一般型)HP「公募要領(第4回公募)」
早めの準備が採択の鍵
借入にて設備導入を検討されている方を対象とした提出書類、「金融機関が発行する資金調達確認書」の発行には時間がかかる場合があります。申請において有利となる「加点項目」の中にも、認定を受けるまで長期間かかるものもあります。他にも、補助金を申請するにあたり必要な書類は多岐に渡るため、申請を希望される方は事前の準備を進めておきましょう。また、事業計画書の策定だけでも最低1か月はかかるため、先んじて準備に取り掛かっておくとよいでしょう。
まとめ
注目が集まり、今後も競争が激化していく中で採択される可能性を高めるには、早めの準備が肝心です。
「この設備は補助金の対象になるか」「自分たちの業種でも申請はできるか」など、少しでも疑問があれば、ぜひ一度、補助金の活用に精通した認定経営革新等支援機関にご相談ください。
省力化補助金編集部
シェアビジョン株式会社
認定支援機関(認定経営革新等支援機関※)である、シェアビジョン株式会社において、80%以上の採択率を誇る申請書を作成してきたメンバーによる編集部が監修・執筆しています。
当社は、2017年の会社設立以来、ものづくり補助金や事業再構築補助金等の補助金申請サポートをはじめとしたコンサルティングサービスを提供してまいりました。『顧客・従業員のビジョンを共有し、その実現をサポートすることで社会の発展と幸福を追求する』を経営理念とし、中小企業の経営者のビジョンに寄り添い、ビジネスの課題を解決するための手助けをしています。支援してきたクライアントは1,300社以上、業界は製造業、建設業、卸売業、小売業、飲食業など多岐に渡ります。このブログでは、中小企業の経営者にとって有益な情報を分かりやすくお届けしてまいります。
※認定経営革新等支援機関とは?
中小企業支援に関する専門的知識や実務経験が一定レベル以上にあると国が認定した経営相談先です。全国各地に3万箇所以上の認定支援機関があり、税理士、税理士法人、公認会計士、中小企業診断士、商工会・商工会議所、金融機関、経営コンサルティング会社等が選出されています。認定支援機関を活用することで、補助金申請だけでなく、財務状況、財務内容、経営状況に関する調査・分析までを支援するため、自社の経営課題の「見える化」に役立ちます。
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