この記事のポイント
従来の補助金制度が統合・再編
新事業進出・ものづくり補助金の3つの申請枠
令和8年度に合計3回程度公募予定
統合により予測される変更点
新制度のスケジュールは遅れている?
補助金は初回公募が狙い目!
【2026年6月19日更新】
最新動向として、記事内容を更新いたしました。
主な更新内容は以下の通りです。
・新制度スケジュール 当初見通しに対する進捗状況
・補助金は初回公募が狙い目、その理由とは?
はじめに
中小企業の成長支援策として、注目されているのが「事業進出・ものづくり商業サービス補助事業」です。令和7年度補正予算にて発表された「ものづくり商業・サービス省力化・革新的開発・新事業・海外展開促進事業」という、これまで別々に予算が組まれていた補助金が統合され、新たに基金が活用・再編されて2,960億円の予算が組まれました。中でも、「事業再構築補助金」と「ものづくり補助金」を一つの枠組みとして再編したものが「事業進出・ものづくり商業サービス補助事業」となります。
また、単なる統合ではなく1つの制度の中に複数メニューが整理されたため、より“成長投資特化型”に進化した制度となりました。
この記事では、公募の内容と開始時期、予測される変更点について解説します。
新事業進出補助金とものづくり補助金の概要
まず、従来の制度である「新事業進出補助金」と「ものづくり補助金」の概要について説明します。
| 目的 | 新規事業への挑戦を目指す中小企業の設備投資を促進し 生産性向上や賃上げにつなげる狙い |
| 対象 | 中小企業等 |
| 補助下限額 | 750万円 |
| 補助上限額 | 従業員20人以下で2,500万円、101人以上で7,000万円(※特例を除く) |
| 補助率 | 一律1/2(※特例を除く) |
| 基本要件 | ①新事業進出指針に示す「新事業進出」の定義に該当する企業である ②付加価値額の年平均成長率4%以上増加 ③給与支給総額の年平均成長率を2.5%以上増加 等 ④事業場内最低賃金を地域別最低賃金より+30円以上の水準 ⑤次世代法に基づく一般事業主行動計画を公表 ⑥金融機関要件(金融機関からの融資を受ける場合のみ) |
| 補助事業実施期間 | 交付決定日から 14 ヶ月以内(ただし採択発表日から 16 ヶ月以内) |
| 目的 | 自社の技術力等を活かして、新商品・新サービスを開発し、 新たな価値を提供するための設備投資を支援 |
| 対象 | 中小企業、小規模事業者等 |
| 補助下限額 | 100万円 |
| 補助上限額 | 従業員51人以上で2,500万円 グローバル枠の場合、3,000万円 |
| 補助率 | 中小企業1/2 小規模・再生 2/3 |
| 基本要件 | ①~④の要件をすべて満たす3~5年の事業計画の策定及び実行 ①付加価値額の年平均成長率が+3.0%以上増加 ②従業員1人あたり給与支給訴額の年平均成長率を+3.5%以上増加 ③事業所内最低賃金が事業実施都道府県の最低賃金+30円以上の水準 ④次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表等(従業員21名以上の場合のみ) ※最低賃金の引上げ特例事業者の場合、①、②、④のみ |
| 補助事業実施期間 | 交付決定後から最大で10ヶ月間 (ただし補助企業の終了期限は、採択発表日から12ヶ月後の日まで) |
これらが統合されたものが「新事業進出・ものづくり補助金」となり、より一体的に中小企業の売上拡大や生産性向上を後押しするものとなります。
以下にて内容を解説します。
新事業進出・ものづくり補助金の申請枠について
新事業進出・ものづくり補助金では、申請対象や審査観点が異なる3つの枠があり、申請枠によって狙いが異なります。
・革新的新製品・サービス枠
・新事業進出枠
・グローバル枠
【革新的新製品・サービス枠】
革新的新製品・サービス枠は、従来の「ものづくり補助金」に近い役割を持ち、新製品・サービスの開発や技術の高度化を支援する枠となっています。
| 従業員数 | 補助上限 ※カッコ内は大幅賃上げの行う場合 | 補助率 |
|---|---|---|
| 5人以下 | 750万円(850万円) | 1/2、小規模・再生2/3 (※) |
| 6~20人以下 | 1,000万円(1,250万円) | 1/2、小規模・再生2/3 (※) |
| 2~50人以下 | 1,500万円(2,500万円) | 1/2、小規模・再生2/3 (※) |
| 51人以上 | 2,500万円(3,500万円) | 1/2、小規模・再生2/3 (※) |
※最低賃金引上げ特例:補助率を2/3に引上げ(小規模・再生事業は除く)
■事例
・AI・IoTを活用した機器やサービス
(例)機械装置+カメラ・AIで不良を検知、IoTライン連携でリアルタイム管理
・新素材・新技術を使った製品
(例)環境対応素材への変更:石油プラスチック→生分解素材へ置換
【新事業進出枠】
新事業進出枠は、既存事業とは異なる新市場への進出を支援する枠です。
| 従業員 | 補助上限 ※カッコ内は大幅賃上げの行う場合 | 補助率 |
|---|---|---|
| 20人以下 | 2,500万円(3000万円) | 1/2(※) |
| 21~50人 | 4000万円(5,000万円) | 1/2(※) |
| 51~100人 | 4000万円(5,000万円) 5,500万円(7,000万円) | 1/2(※) |
| 101人以上 | 7,000万円(9,000万円) | 1/2(※) |
※最低賃金引上げ特例:補助率を2/3に引上げ
■事例
・異業種向け新サービス展開
(例)町工場が金属加工の技術を用いて医療機器分野へ参入
【グローバル枠】
グローバル枠は海外展開に特化した枠です。
| 従業員 | 補助上限 ※カッコ内は大幅賃上げの行う場合 | 補助率 |
|---|---|---|
| 20人以下 | 2,500万円(3000万円) | 2/3 |
| 21~50人 | 4000万円(5,000万円) | 2/3 |
| 51~100人 | 5,500万円(7,000万円) | 2/3 |
| 101人以上 | 7,000万円(9,000万円) | 2/3 |
■事例
・輸出向けの製品開発
(例)日本製機械の海外規格対応+輸出
新事業進出・ものづくり補助金 公募スケジュール
新制度としての全体スケジュールは公式に明示されていないものの、統合前の従来制度の事務局の公募が既に開始されており、現在のものづくり補助金の事務局である全国中小企業団体中央会を幹事社としたコンソーシアムに決定いたしました。
事務局公募情報によると、令和8年度末までに3回程度公募、合計で約6,000件の採択を行う計画で進められています。
公募スケジュールの当社予測では、
・第1回:2026年夏頃
・第2回:2026年秋頃
・第3回:年明け
といったサイクルが想定されます。
ものづくり補助金の第23次公募締切が5月8日(金)、新事業進出補助金の第4回公募締切が6月19日(金)のため、切り替わりはものづくり補助金の24次公募、新事業進出補助金の第4回公募終了後のタイミングになる可能性が高いです。
【新制度スケジュール 当初見通しに対する進捗状況 6月19日続報】
中小機構が当初示していた想定では、6月初旬に公募要領公募が開始され、8月から申請の受付が開始される見込みとされていました。
しかし2026年6月19日現在、公募要領はまだ公開されておらず、当初の想定よりスケジュールが後ろ倒しになっています。新事業進出補助金の第4回公募(締切6月19日)やものづくり補助金の第23次公募(締切5月8日)といった現行制度の締切が終了した後も、新制度の詳細が明らかになっていない状況です。
申請を予定している事業者の方は、公募開始後に慌てて準備を始めるのではなく、事業計画の検討やGビズIDプライムアカウントの取得など、今のうちから着手できる準備を進めておくことをおすすめします。
従来制度との変更点予測
新制度への移行によって、評価されるポイントや事業内容等に大きく変化はありません。要件や審査項目、加点についても現行の制度がおおよそ引き継がれると想定されますが、申請枠の違いを理解し、より完成度の高い事業計画を作成することが重要になってくると考えられます。
既存事業とこれから行いたい新規事業を整理し、なぜその投資が必要なのかを明確化すること、ターゲット市場を具体化し、売上ストーリーを数値化するなどより戦略的な計画が求められると想定されます。
また、従来のものづくり補助金でのグローバル枠では補助上限額が3,000万円でしたが、新制度では補助上限額7,000万円と大幅に引き上げられます。今後より輸出事業・海外展開への投資比重が上がっていくのではないかと考えられます。
補助金は初回公募が狙い目、その理由とは?
新制度での申請を検討している場合は、可能であれば初回公募での申請を目指すことをおすすめします。
補助金制度では、一般的に公募回数を重ねるにつれて要件の見直しが行われ、審査基準が明確化・厳格化していくケースが多いためです。
実際に、他の補助金制度でも第1回公募の採択率が比較的高くなる傾向が見られます。例えば、新事業進出補助金では、第1回の採択率が37.2%だったのに対し、第2回では35.4%に低下しました。
また、公募を重ねる中で加点項目の追加や要件の整理が進められています。同様の動きは、ものづくり補助金など他の補助金制度でも見られます。
この背景には、制度開始当初は運用実績が少なく、審査側も審査基準を構築している段階にあることが挙げられます。また、公募回数を重ねるにつれて、不正受給対策の強化や賃上げ要件の精緻化など、制度運用の見直しが進むことも要因の一つと考えられます。
新制度への移行を見据えている事業者の方は、初回公募のタイミングを逃さないよう、早い段階から事業計画の検討や必要な準備を進めておくとよいでしょう。
まとめ
新事業進出・ものづくり補助金は従来の制度を統合した新制度であり、自社の強みや事業戦略にあった選択することが採択成功の第一歩となります。
また単なる資金支援ではなく、成長戦略を具体化するツールとしても活用可能です。
今後公開される公募要領に沿って、具体的な日程等もお知らせさせていただきます。
新事業進出・ものづくり補助金の活用を検討されている事業者の方は、ぜひ一度、認定支援機関にご相談ください。