この記事のポイント
第2回公募の採択数は約35.4%
前回公募よりも応募件数・採択件数ともに減少傾向
第4回公募は6月19日(金)締切
はじめに
2026年3月31日に新事業進出補助金の第2回公募の採択結果が公表されました。
新事業進出補助金は補助対象金額が最大9,000万円と非常に高額を受け取れる可能性がある補助金として、気になっている事業者の方も多いのではないでしょうか。採択結果分析から、企業の傾向や、どういった取り組みが評価されているのかを分析します。
さらに、3月27日に公募が発表された新事業進出補助金第4回公募の変更点もまとめています。
こらから、4回公募終了に伴い、現行補助金が統合された「新事業進出・ものづくり商業サービス補助事業」が行われる見込みです。要件等はまだ発表されていませんが、賃上げ条件などが徐々に引き上げられているいま、新事業進出補助金を活用するラストチャンスになります。
本コラムでは、採択結果から見えてくる傾向や、第4回公募の変更点について解説します。
新事業進出補助金の概要
新事業進出補助金とは、新規事業への挑戦を行う中小企業等を対象に、既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出を後押しし、生産性向上や賃上げにつなげることを目的とした制度です。
設備投資にとどまらず、既存の経営資源を活用した成長戦略の実現を目的としており、申請には成長性・収益性・実現可能性を備えた具体的な事業計画が求められます。
新事業進出補助金 第2回の採択結果
①応募件数・採択件数
今回の発表では、応募件数2,350件に対し、採択件数は832件、採択率は約35.4%となりました。(うち関税加点対象は446件)
第1回公募の全体の採択結果は37.2%だったため、微減の結果となりました。
これは単に数を見るだけでなく、厳しい審査が行われたことも示唆しています。
また「関税加点」とは、米国の追加関税措置の影響が大きいと認められた場合に加点対象となり、採択に有利に働くことが分かっています。
②業種別の応募・採択傾向

≪引用≫
https://shinjigyou-shinshutsu.smrj.go.jp/docs/shinjigyou_koubo_gaiyou_02.pdf
応募・採択数ともに多かった業種は以下です。
1.製造業
2.建設業
3.卸売業・小売業
製造業が最多、次いで建設業・小売業が続いています。一般的に設備投資や新サービス導入の可能性が高く、新市場戦略を打ち出しやすい業種とも言えます。
これらの業種は、新事業進出補助金の趣旨と親和性の高い特性を備えており、既存の技術やノウハウを別分野へ展開しやすいといった背景があります。
その結果、設備投資と将来的な売上拡大のストーリーを結びつけやすい点が、採択につながっていると考えられます。
③都道府県別の応募・採択分布
全国47都道府県で応募があり、採択も全国的に分布していますが、全体として多かった地域は以下の通りです。
| 都道府県 | 応募件数 | 採択件数 |
|---|---|---|
| 東京都 | 425件 | 129件 |
| 大阪府 | 238件 | 81件 |
| 愛知県 | 152件 | 59件 |
関税の影響を受けている事業者は加点対象
これらは企業数が多い都市圏のため応募も多く、採択者数でも上位に位置します。
また地域の業種特性や支援体制によって結果に差が出ていると考えられますが、地方圏でも一定数の応募があり、中小企業の新事業への意欲が広く存在することが分かります。
④補助金申請額の分布
応募の多かった申請額帯は、2,500万円以上~3,000万円未満(約480件)、次いで多い帯が1,000万円以上~1,500万円未満(378件)、2,000万円以上~2,500万円未満(295件)でした。
補助金額の上限をいっぱいまで申請している企業が中心と考えると、従業員数50人以下の企業が多く申請しているのではないか、と考えらえます。
⑤業種別にみる取組内容
事業計画書のタイトルから、業種別や、最も多い製造業が関連する業界の頻出単語を分析しました。
| 業種 | 頻出単語 |
|---|---|
| 製造業 | 加工 / 精密 / 一貫 / 部品 / 体制 |
| 建設業 | 活用 / 再生 / インフラ / 施工 / DX |
| サービス・観光 | 体験 / 宿泊 / 地域 / 高付加価値 |
| IT・コンサル | AI / DX / プラットフォーム / SaaS |
| 業界 | 頻出単語 |
|---|---|
| 半導体・電子部品系 | 半導体/パワー半導体/微細化/多層化/成膜/精密部品/高耐熱/クリーン/高純度 |
| 金型・精密加工系 | 金型/精密加工/微細加工/鏡面/切削/研磨/高精度/直彫り/多軸加工(5軸など) |
| 建材・金属加工系 | 大型・重工・インフラ |
| 自動車・輸送機器系 | EV化・電動化ワード |
| 医療・バイオ系 | 医療機器/再生医療/バイオ/高精度部品/クリーン環境/衛生 |
| 環境・エネルギー系 | 脱炭素/リサイクル/再資源化/カーボンニュートラル/省エネ/エネルギー |
| 食品・素材系 | 食品加工/地域素材/機能性/高品質/安全/保存技術 |
| 新素材・先端材料系 | 炭化珪素(SiC)/複合材料/高機能素材/新素材/軽量高強度 |
上記のように、国策に沿った取り組みや、先進的な取り組みが評価されている傾向にあります。
第1回公募と第2回公募の採択結果の比較
第1回と比べて第2回公募では、応募件数が減少しました。それに伴い採択数も減少しましたが、採択率は前回と同水準で推移しています。
| 指標 | 第1回公募 | 第2回公募 |
|---|---|---|
| 応募件数 | 3,006件 | 2,350件 |
| 採択件数 | 1,118件 | 832件 |
| 採択率 | 約37% | 約35% |
| 関税加点対象 | 590件 | 446件 |
業種構成の傾向については、第1回・第2回ともに応募・採択の上位は製造業・卸売業・小売業・建設業などが多数となっています。主要業種の傾向はほぼ維持、いずれも設備投資や事業転換を伴う業種が中心に応募されています。
地域の分布についても大きく変化はありませんが、件数としては全国的にやや低調な応募・採択数となっています。
また補助金の申込額帯は、第1回公募では、2,000万円以上~2,500万円未満の申請件数が最多と中堅~やや中規模の申請額が中心でしたが、第2回公募ではやや高めの申請額帯にシフトしている傾向がうかがえます。
新事業進出補助金の4回公募が開始
3月27日に第4回公募の公募が開始されました。
スケジュールは以下の通りです。
| フロー | 日程 |
|---|---|
| 公募開始 | 2026年3月27日(金) |
| 申請受付 | 2026年5月19日(火) |
| 応募締切 | 2026年6月19日(金)18:00 |
| 採択発表 | 2026年9月頃 |
新事業進出補助金の4回公募の変更点
①補助率2/3が追加
地域別最低賃金引上げ特例要件の追加により、一律1/2だった補助率に2/3が追加されました。
この特例を活用するには、以下の要件を満たしている必要があり、事業場内最賃水準要件は除外されます。
2024年10月から2025年9月までの間で、補助事業の主たる実施場所で雇用している従業員のうち、「当該期間における地域別最低賃金(事業実施都道府県における最低賃金のこと。以下同じ)以上~2025年度改定の地域別最低賃金未満」で雇用している従業員が30%以上である月が3カ月以上あること。
②賃上げ要件
一人当たり給与支給総額の年平均成長率が、これまでの2.5%→3.5%に統一されました。
2021年度~2025年度では、最低でも3.9%と、全国的に高い賃上げが実施されたことから、3回公募までの(1)である、地域別の賃上げ率は考慮されず、一律の基準が定められました。
(1)補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、一人当たり給与支給総額の年平均成長率を、事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間(令和元年度を基準とし、令和2年度~令和6年度の5年間をいう。)の年平均成長率(以下 「一人当たり給与支給総額基準値」という。)以上増加させること
(2)補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、給与支給総額の年平均成長率を2.5%(以下 「給与支給総額基準値」という。)以上増加させること
③RESASについて追記
市場や一般的な製品の高付加価値化を示すことが重要になる新事業進出補助金では、市場データの解析が欠かせません。
市場分析に役立つ、地域経済分析システムである「RESAS(リーサス)」が紹介されました。
• 地域経済分析システム(RESAS)(https://resas.go.jp/)
RESAS利活用サイト RESAS Portal(https://resas-portal.go.jp/)
④加点の追加
賃上げ、賃金に関わる加点が2つ追加されました。
・地域別最低賃金引上げに係る加点
2024 年10月から2025年9月までの間で、補助事業の主たる実施場所で雇用している従業員のうち、「当該期間における地域別最低賃金以上~2025年度改定の地域別最低賃金未満」で雇用している従業員が全従業員の30%以上である月が3カ月以上ある事業者
追加された特例要件である「地域別最低賃金引上げに係る補助率引上げの特例」の対象とはならない事業者が、この加点のみを申請しても「基本要件④:事業場内最賃水準要件」は除外されないため、注意が必要です。
・事業場内最低賃金引上げに係る加点
2025 年7月と応募申請直近月の事業場内最低賃金を比較し、「全国目安で示された額(63円以上)」の賃上げをした事業者
補助金額が3,000万円以上の高額な補助金額で採択されている企業が全体の26.4%を占めており、補助金額が大きい事業者の採択率が高いという傾向がありました。これは、比較的規模の大きな事業計画に対して、綿密な準備で臨んだ事業計画が評価されたり、加点を取りやすかったりした結果だと思われます。
まとめ
制度開始直後は「初回募集効果」により第1回公募に応募が集中したと考えられますが、第2回公募では応募数が落ち着く一方で、申請額や事業計画の質・規模は着実に高度化しています。採択率については、審査基準の厳格さや選別水準に大きな変動は見られず、一定の水準で推移しているといえます。
また、採択事例を分析すると、業種ごとに先端技術の活用や地域課題の解決に資するキーワードが多く盛り込まれており、社会的意義と成長性を兼ね備えた計画が評価されている傾向が明らかです。
現在は第4回公募も開始され、特例措置や加点項目の拡充により、該当事業者にとってはより有利に補助金を活用できる機会が広がっています。
事業計画書の策定にあたっては、単なる設備投資にとどまらず、持続的な企業変革につながる内容とすることが重要です。採択事例の傾向を踏まえ、より採択されやすい計画の構築が求められます。
申請をご検討中の事業者様は、お早めにご相談ください。