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事業再構築補助金制度概要・補助金採択の傾向と対策

事業再構築補助金 差し戻し事例と修正ポイントを解説

 事業再構築補助金の電子申請の手続きや採択後の交付申請の手続きにおいて、「提出書類が不足している」「書類の内容に誤りがある」「有効期限が過ぎている」などの申請内容の不備によって差し戻しが散見されています。電子申請時や交付申請時に書類の差し戻しを受けると補助金の振り込み時期の遅れに繋がってしまうため、なるべく修正を少なくできるように事前の確認を怠らないよう注意しましょう。
 ここでは、事業再構築補助金の申請後の「交付申請時の不備」による差し戻し事例を踏まえて詳しく解説します。

事業再構築補助金の交付申請とは

 はじめに、交付申請とはなにか、改めて説明します。

 事業再構築補助金の流れとして、応募申請後の採択発表で採択だった場合、「交付申請」を行う必要があります。交付申請をしてから事務局から2週間程度で事務局から連絡が来ることが多く、その後のやり取りの間で指摘された差し戻しに対してスムーズであれば1~2回、多ければ5回以上の修正を行うことがあります。

交付申請で補助金額が決定する

 採択結果は、申請した事業計画に記載のある金額の全額に対して、補助金の交付決定を保証するものではありません。採択決定後に、「交付申請」することにより、申請時に提出した書類に基づき、補助事業経費等の内容を事務局で補助金の対象経費として適切なものであるか精査されます。必要に応じて、事務局が事業者の方と確認作業を実施し、必要な修正・訂正等の手続きを行ったうえで、補助金交付額を決定し、通知されます。
 なお事務局から事前着手の承認を受けた場合を除き、交付決定前に補助事業を開始された場合は、原則として補助金の交付対象とはなりません。交付決定日以降より補助事業を開始することが可能となります。

交付申請から交付決定はいつまでに行う必要がある?

 交付申請はいつまでに行わなくてはならないという決まりはありません。
 しかし、補助事業期間は採択発表されてから14ヵ月以内と定められているため、交付申請が遅れると交付決定の審査も遅れ、結果的に補助事業の実施期間が短くなる可能性があります。
 交付申請から交付決定まで差し戻しから修正、再申請を行って大体1~2ヵ月が目安となりますが、修正が多ければ多いほどその後の補助事業開始に遅れが出てしまいます。
 そのため、交付申請でいかに修正を少なくするかがスムーズに事業を遂行できるかどうかに影響します。

事業再構築補助金の交付申請時のよくある差し戻し事項

 次に、交付申請時によくある不備事項について解説します。
 申請内容に不備がある場合、内容の確認が必要となることから、交付決定までに通常よりも多くの時間を要します。交付申請の前に、内容をよくご確認ください。

<不備があり、追加・修正を依頼した事例>
事例1:単価50万円以上(税抜)の建物費を計上し申請されているが、相見積書の提出がない。
 見積書は原則、経費科目にかかわらず計上している全ての補助対象経費の見積書の提出が必要となります。ただし、相見積は単価で50万円以上のため、仮に単価10万円の商品を10個購入する場合、相見積は不要です。また、相見積は2社で同条件になっているため、見積書の経費項目も交付申請時には合わせておく必要があります。
(事前着手承認を受けている事業者は、2021年2月15日以降有効な見積書の提出が必要です)

事例2:発注先の押印が無い。
 交付申請に必要な見積書に発注先の押印が無い場合、交付申請の不備対象となってしまいます。印鑑の指定は無いため、デジタル印でも問題ありません。

事例3:見積書の有効期限が短い
 事業再構築補助金の交付決定までは、交付申請の期間に数ヵ月程度かかってしまいます。見積書も交付決定の期間内も有効である必要があり、見積書の有効期限が1ヵ月などの短期間だと交付申請期間に見積書の有効期限が切れてしまう恐れがあります。
 そのため、最低でも3ヵ月~半年ほどの有効期限がある見積書を提出しましょう。

<経費項目を修正した場合、事業計画書の修正も必要>
 事業計画書に経費の詳細が記載されている場合、経費項目を変更した際は交付申請書別紙1だけでなく、事業計画の修正も必要です。
 修正が必要となる場合、交付申請で提出する事業計画書には変更した部分を赤文字で修正し、冒頭で変更した部分を記載するなど、審査員にわかりやすいように明記することをお勧めします。

【建物費】
○必要書類
(改修の場合)見積書と見積依頼書、建物の見取図、補助対象経費により改修する建物に係る宣誓・同意書<参考様式20-2>(第3回公募以降の場合、交付申請書別紙1に含む)
(建設の場合)見積書と見積依頼書、建物の見取図、補助対象経費により取得する建物に係る宣誓・同意書<参考様式20-2>(第3回公募以降の場合、交付申請書別紙1に含む)


 単価50万円(税抜き)以上の場合、2者以上の同一条件の相見積もりを取ってください。 なお、同一条件とは、同一仕様の相見積もり書である必要があります。
※事前着手承認を受けている事業者も同一条件での相見積もりの取得が必要です。

ポイント1:同一仕様の相見積もりで、補助対象外経費が含まれていないかご確認ください。
 原則、名称が一致している必要があります。 一致していない場合、同一仕様の相見積もりであるかを確認するため、 見積書の再提出や見積依頼書等の追加書類の提出を求めることがあります。

ポイント2:有効期限の記載がある場合、初回交付申請日に有効であるかご確認ください。

ポイント3:原則、大・中項目が一致している必要があります。一致していない場合、同一仕様の相見積もりであるかを確認するため、 見積書の再提出や見積依頼書等の追加書類の提出を求めることがあり ます。なお、小項目がある場合は、可能な限り項目を一致させてください。

ポイント4:どのような建物が建てられるかがわかる設計図書の提出が求められます。建物を改修する場合は設計図書の代わりに見取図を提出することが可能です。
  
【機械設備・システム構築費の場合】
○必要書類
見積書と相見積依頼書、価格が記載されているパンフレットや仕様書


 単価50万円(税抜き)以上の場合、2者以上の同一条件の相見積もりを取ってください。
※事前着手承認を受けている事業者も同一条件での相見積もりの取得が必要です。

ポイント1:同一仕様の相見積もりで、補助対象外経費が含まれていないかご確認ください。
 原則、品目等が一致している必要があります。一致していない場合は、同一仕様の相見積もりであるかを確認するため、 見積書の再提出や見積依頼書等の追加書類の提出を求めることがあります。
 なお、相見積が取得できなかった場合、その理由を明記した書類を代わりに提出する必要があります。しかし、「相見積を出してくれる企業が無い」「昔から取引を行っている」という理由は合理的な理由として認められていません。

ポイント2:価格の妥当性を証明するために、設備のカタログやパンフレット等の公式資料の提出が必要です。また、国外から機械装置を導入する場合、換算に用いたレート表(公表仲値)の提出も求められます。(TTMを用い、年月日と公表金融機関名を明記する)

ポイント3:中古品を購入する際は3社以上の見積が必要です。
 製造年月日や性能が同程度である必要があり、交付申請に必要な見積書は型式や年式が記載されている必要があります。そのため、項目が異なる場合は差し戻しとなる可能性が高くなります。

【諸経費についての内訳記載】
  「諸経費」については使途が不明であるため、原則、補助対象経費として認められません。具体的な内訳の記載が必要です。 ※現場管理費、一般管理費や雑費等も同様です。

事例②:提出される見積書と経費明細表が一致していない。(特に積算基礎の項目)
(1)(E)積算基礎の欄は見積書と名称、単価、数量を一致させる必要があります。単価に関して、見積書の単価が税込みであれば(E)の欄は税込みでの記載、 見積書の単価が税抜きであれば(E)の欄は税抜きでの記載が必要です。
(2)(E)積算基礎の欄は(A)事業に要する経費の内訳である必要があります。 金額が一致しているかご確認ください。
(3)建物費の場合は「○○工事一式」、機械装置・システム構築費の場合は 「○○機械一式」とまとめて記載することは可能です。

事例3:経費明細表の積算基礎に「名称、単価、数量」が記載されていない。
 不備例として、(E)積算基礎の欄が「見積書、事業計画書参照」と記載されているケースや、「名称のみ」で単価、数量の記載がないケースがあります、見積書上の単価、数量を記載してください。なお、(C)の欄は経費区分ごとの金額修正は可能ですが、合計額が採択決定時の金額を超えることは認められません。(減額は可能です。)

事例4:経費明細表の数字を修正したが、4.事業概要(5)「本事業で取得する主な資産」が修正されていない。
(1)主な資産の取得予定価格は【税抜】で記載してください。
(2)変更がある場合は、交付申請書別紙1を変更し、変更理由を記載のうえ、 経費明細表の名称・金額と一致しているか確認してください。

事例5:jGrantsのマイページに事業再構築補助金の申請が複数存在している。
 事務局から差戻しがあった場合に、再申請する際に、複数申請になってしまうケースが散見されます。再申請いただく際は、マイページから申請し、新規で申請を行わないようにしてください。

 交付申請における提出資料は多岐に渡り、修正や再申請に時間がかかってしまうことが多く、特に小規模の企業単体で交付決定まで進めるには根気のいる工程になることでしょう。事業再構築補助金の申請を考えている方や既に採択された方は本記事を参考にしてみてください。

この記事の著者

シェアビジョン株式会社代表取締役

小林 卓矢

1979年5月生まれ。 2002年に明治学院大学卒業後、株式会社エフアンドエム(東証JASDAQ上場)へ入社。 事業本部長として、中小企業向けに事業計画策定による金融支援から各種補助金申請のコンサルティングサービスの新規事業を立ち上げ、ものづくり補助金では2000社以上の企業を支援する。経済産業省主催の中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン策定検討会に検討委員として、ガイドライン策定にも関与。 入社当初の起業の目標を実現すべく、2017年5月にシェアビジョン株式会社を設立し、現在に至る。