1.事務局と補助事業者(基金)
事業再構築補助金の事業委託先等について解説します。
経済産業省と中小企業庁は2021年2月12日、事業再構築補助金の事務局を決定しました。応募事業者3件の中から選ばれたのは、人材派遣大手パソナグループです。事務局委託費は当初399億円でしたが、緊急事態宣言特別枠が新たに加わるなどしたため、委託費は420億9673万円となっています。パソナは以下のような業務を行います。
公募
審査及び採択
進捗状況管理
確定検査
事業化状況報告書管理等
一方、1兆円を超える基金を管理する基金設置法人は、独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下、中小機構)です。基金設置法人は、経済産業省と中小企業庁が2回公募したものの、応募はありませんでした。その結果、外部有識者による審査委員会の承諾のうえで複数の団体に対して打診を行い、中小機構に決定しました。中小機構は以下のような業務を行っています。
交付決定
補助額の確定
事務局の指導
事務局であるパソナと中小機構は委託契約を締結し、補助金の公募、審査・採択、交付決定に係る業務を担当しています。事業再構築補助金の履行体制は次の通りです。

次に、パソナからの再委託先について解説します。
再委託先は、システム関係、コールセンター関係、広報関係に大別されます。
システム関係で再委託されたのは、日本システムウエア株式会社です。22億円で事業管理システムの構築・改修・保守運営業務、システム操作に関するサポートセンター業務などを担います。
さらにシステム関係の再委託先(2次)としてNSWテクノサービス(クラウドの構築・保守管理業務など)、株式会社ワールドスカイ(セキュリティ診断の企画・設計・管理業務など)、再々委託先(3次)として株式会社レオンテクノロジー(セキュリティ診断の実作業など)と連携しています。
コールセンター関係で再委託されたのは、トランスコスモス株式会社です。事業に関する問い合わせ全般を対応するコールセンター業務などを担います。
広報関係は株式会社エージーと株式会社ラーニングスクエアに再委託されています。
株式会社エージーは、専用サイトの設計・制作・デザインと、事業周知チラシ・パンフレットの制作・デザインなどを担います。イーストクリエイティブに再々委託(3次)され、専用サイトのサーバーの保守・管理、コーディング・保守・管理などを担います。また、株式会社ラーニングスクエアは事業解説動画の制作業務などを担います。
2.事務局採用の経緯
事業再構築補助金の事務局にパソナが採用された経緯を解説します。
令和3年1月28日、中小企業庁経営支援部から、令和2年度「中小企業等事業再構築促進事業」に係る事務局募集要領が発出されました。
まず、応募資格は次の要件のすべてを満たす企業・団体等となっています。
日本に拠点を有している。
本事業を的確に遂行する組織、人員等を有している。
本事業を円滑に遂行するために必要な経営基盤を有し、かつ、資金等について十分な管理能力を有している。
予算決算及び会計令第70条及び第71条の規定に該当しないものである。
経済産業省からの補助金交付等停止措置又は指名停止措置が講じられている者ではないこと。
過去3年以内に情報管理の不備を理由に経済産業省との契約を解除されている者ではないこと。
採択者の決定後速やかに採択結果((ア)採択事業者名、(イ)採択金額、(ウ)第三者 委員会審査委員の第三者委員会による審査結果の概要、(オ)全公募参加者 の名称及び採点結果(公募参加者名と採点結果の対応関係が分からない形で公表する)) を経済産業省ホームページで公表することに同意すること。なお、コンソーシアム形式による申請も認めますが、その場合は幹事法人を決めていただくとともに、幹事法人が事業提案書を提出してください(ただし、幹事法人が業務の全てを他の法人に再委託することはできません)。
これらの応募要件をクリアし、応募したのは次の3社でした。
凸版印刷株式会社
株式会社リベルタス・コンサルティング
株式会社パソナ
この中から、第三者の有識者で構成される委員会で審査が行われ決定しました。なお、応募期間締切後に、必要に応じて提案に関するヒアリングを実施されています。審査基準は以下のとおりで、これに基づいて総合的な評価が行われました。
応募資格を満たしているか。
提案内容が本事業の目的に合致しているか。
事業の実施方法、実施スケジュールが現実的か。
事業の実施方法等について、本事業の成果を高めるための効果的な工夫が見られるか。
本事業の関連分野に関する知見を有しているか。
本事業を円滑に遂行するために、事業規模等に適した実施体制をとっているか。
コストパフォーマンスが優れているか。また、必要となる経費・費目を過不足無く考慮し、適正な積算が行われているか。
ワーク・ライフ・バランス等推進企業であるか。
適切な情報管理体制が確保されているか。また、情報取扱者以外の者が、情報に接することがないか。
事業全体の企画及び立案並びに根幹に関わる執行管理部分について、再委託(委託業務 の一部を第三者に委託することをいい、請負その他委託の形式を問わない。以下同じ。) を行っていないか。
事業費総額に対する再委託費の割合が50%を超えないか。超える場合は、相当な理由があるか(「再委託費率が50%を超える理由書」を作成し提出すること)。
これらの審査基準により、5人の審査員が審査した結果、以下の結果になっています。(令和3年2月12日経済産業省中小企業庁経営支援部公表の公募審査(採択)結果より)

上表の通り、株式会社パソナは平均87.2点を獲得して最高点となりました。
また「大規模な補助金事業の実績を踏まえて具体的な提案がなされており、確実かつ早期の運用が可能と判断した。 実施体制についても、根拠に基づいて算出された要員が提案されている」という評価コメントも掲載されています。
審査員はどんな人?
補助金の審査をする審査員は、一般的には外部の有識者によって実施されています。
この外部の有識者とは、主に国などから委託を受ける税理士等の士業が中心となります。なかでも事業再構築補助金で事業計画を審査する審査員は、中小企業診断士がメインで行っています。
審査は一般的に、一つの事業計画に対し、3~4名の体制でチェックを行います。例えば、2名が事業面、残りの2名が技術面や政策面を審査し、項目ごとに点数をつけていき、その合計点の上位から採択されます。
また、審査員である外部識者は、本来の仕事もあるので多忙です。前もって申請書を熟読することは難しいうえ、限られた時間のなかで多くの申請書に目を通す必要があることから、ざっと読んで判りにくい申請書は低く評価される可能性があります。
さらに、応募されてくる全ての事業内容に精通していることはまず不可能なので、事業計画は業界経験や知識がない方でも分かりやすく、見やすくなるように努力する必要があります。